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岩手日報[道](いわてに生きる)掲載記事より
タンゴの灯守り20年
−バンドネオン奏者 森川倶志さん−
盛岡の中心地、大通り商店街にあるライブ・レストラン「アンサンブル」は、今では奏者も少ないバンドネオンとヴァイオリン、ピアノのトリオで本格的なタンゴを常時聞かせる、東京より北ではただ一つの店だ。
昭和52年、東京で活動していた森川さんは、新しく開店したレストランの招きで盛岡を訪れた。「東京とは違う、お客さんとの深いコミュニケーション」に引き込まれ、一ヶ月の演奏予定が一年半まで延びた。
「ミュージシャンにとって、ホームグラウンドとなる店を持つのが夢」と常連客に話すと「思い切ってやってみたら」と勧められた。意を決し、再び盛岡へ。
「カラオケぐらい置かないと客が来なくなる」と心配もされたが「素人には歌わせない、楽器にも触らせない」という高いプロ意識と誇りを守り通す。
定期的に3時から主婦などを対象としたケーキ・コーヒー付きのアフタヌーン・タンゴや、店外での出張演奏、市内にある厨川中などでのタンゴの授業といった活動の輪が広がった。
10周年記念のLPに続き、20周年記念のCDも来店客の静かな人気を呼んでいる。「今は自分もすっかり岩手人だけど、ここまで続けられて岩手の人、盛岡の人に本当に感謝している。郷土料理の店と同じように、地元の人に誇りに思ってもらえる店にしたい」とホームグラウンドにかける夢はまだ終わらない。
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